アナログゲームを作る時に気を付けて置いたほうがいいコツとかを知りたい。
より面白いゲームをデザインするにはどうすればいいだろう。
こんな疑問に答えていこうと思います。
この記事では、ボードゲームをデザインする際に覚えておくと得をする知識を3つ紹介します。
具体的なゲームの作り方というより、ちょっと概念的な話になっています。具体的な作り方を知りたい方は、以下の記事が参考になるかと思います。
記事の内容
- なるべく最初にたくさんの要素を体験させましょう
- 社会的なタブーを少しだけ持ち込みましょう
- その人にしかない固有の体験を作りましょう
遊びのデザインに関する本を読んで得た知識と、私のボードゲームを製作してきた4年間の経験を合わせて出した結論をお話していきます。
最初にたくさん経験させよう
ボードゲーム、特に長時間のプレイを想定したゲームを作る場合は、プレイヤーにとって重要な要素や選べる選択肢を、できるだけ序盤に全て体験できるようにする方が良いです。
学習心理学では「初頭効果」という言葉があり、「人は時間をかけて体験しながら何かを学ぼうとするとき、体験の最初の方が集中力や学習効果が高まる」という考え方があります。
例えば映画を見て数か月後にその内容を思い出すとき、冒頭の導入部分は鮮明に思い出せるけど、結末の演出とかがちょっとあいまいになったりすることありませんか。あの感じです。
ボードゲームでも、初めてプレイする時とか、インスト受けた時の内容は覚えてられますが、ゲームの途中で説明された追加の処理とか特殊効果とか、結構忘れたままプレイすること、ありますよね。
もちろん、ゲームの流れとして最初に全部体験させるのは難しいこともあるでしょう。切り札となる要素を最初に使わせるのもいかがなものかと思います。
そんな時は、ゲーム全体として「切り札があればなんとかなるかも」と常にプレイヤーに意識させるような作りにしておきましょう。「あ、切り札あったの忘れてた」なんてテストプレイで言われた時は、少しゲームデザインの見直しが必要かもしれません。
せっかくゲームを作るんですから、全ての要素を使って楽しんでもらうためにも、なるべく最初に全ての要素を体験できる作りにしておきたいですね。
社会的なタブーはゲームのスパイス
社会的なタブー、つまり、公の場で大声で発信するとちょっと人に一歩引かれることですね。
これは「本能的なもの」「ネガティブなもの」「射幸心を煽るもの」「(自分にとって)はずかしいもの」に分類されます。
- 本能的なもの:性・食・狩・財・絆
- ネガティブなもの:悪・痛・死・血・罪
- 射幸心を煽るもの:賭博・確率・運
- はずかしいもの:秘密・過去・プライベート
なぜこれらを入れるといいのかというと、タブーには緊張をほぐす効果、または逆に刺激を与える効果があるからです。
1手1手を慎重に選ばなければいけない緊張感のある二人用のカードゲーム、次に引くカードでこのゲームの勝敗が決まるかもしれない・・・そんな緊迫した空気の中で、引いたカードにセクシーな水着を着たダイナマイトなお姉さんが描かれていたら、なんだか嬉し恥ずかしな感情が出てきて空気が緩みますよね。
緊張状態はゲームを楽しんでもらうために必要不可欠な要素ですが、心身に負担を掛けます。そんな状態をずっと続けてゲームが終わったら「このゲーム疲れる・・・」なんて言われるかもしれません。それをタブーで緩和するわけですね。
逆に、ずっとダイスを振ってカードを使って・・・と同じ行動を繰り返していると、だんだんと飽きがきてしまいます。そこに「チャンスです!今ゾロ目を出せばボーナス5倍!」なんて射幸心を煽る要素が出てくると、ぐっとやる気が出てきますよね。賽の目なので自分ではどうすることもできませんが、「ゾロ目を出してやるぞ!」という気になる。
これが、社会的なタブーを使うことの効果です。
ですが、タブーだけでゲームを構成してしまうと、それはそのゲームでの当たり前になってしまうので、効果がありません。
あくまで少しだけ、ゲームのスパイスとして使うことが大切です。
その人しかない固有の体験を提供する
正確には「私が考えて私だけがたどり着いた体験!」と思わせるような設計にしようという話です。
人は「自分で考え、試行錯誤し、そして勝った」という体験をとても大切にします。さらに、強い印象の体験をすれば、もう人に話したくて話したくてたまらなくなります。
それは自分だけが体得した、自分だけの体験だからです。例え、世の中には他にも同じ体験をした人がいたとしても、その人の中ではその体験が自分だけのものになりえるんです。
多くのボードゲームは人と人が協力、または対戦する設計のモノが多いので、基本的に盤面はプレイするたびに変わりますし、多くのゲームは全く同じ流れで何度もゲームが進むということはないはずなので、ここはそこまで深く考えて設計する必要はないと思います。
ただ、プレイヤーが思考錯誤できる余地がどれくらいあるのか、それによってゲームの終わり方、終わるまでの道筋にどれくらいのバリエーションが存在して、それぞれどんな面白さが隠されているのかという部分は気にしておいた方がいいでしょう。
大切なのは、プレイヤーが考えて行動すること。その過程と結果が自分だけの体験だと思えるものにすることです。
終わりに
ぶっちゃけ、これらを知らなくても、意識しなくても面白いゲームは作れると思います。
ただ、「なぜ面白いのか」「どうすればより面白くできるのか」を論理的に詰めながらゲームをデザインしていくのであれば、これらの考え方は参考になるかと思います。
最後に、参考にさせていただいた著書を紹介しておきます。元任天堂社員の方が書かれた、デジタルゲームが題材の本ですが、ゲームそのもののデザインに関して学べる良書です。
この記事がより面白いアナログゲームを作るヒントになれば幸いです⭐
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