「ちょっとゲームできたから遊んでみてよ!」
「オッケー!こうやってこうやって・・・」
(え、何か全然想定した遊びをしてくれない・・・)
プレイヤーって意外とデザイナーの想定とは違う行動をしてきます。
時にはルール的な破綻を起こす食い違い、勘違いをしてしまうことも。
こういった食い違いはどうして発生するのでしょうか。どうやれば防ぐことができるのでしょうか。
今回はそんな内容です。
記事の内容
- デザイナーとプレイヤーの思考が食い違う具体例を紹介します。
- どうすれば食い違いに気付けるか、その方法を紹介します。
- 食い違いを未然に防ぐためにはどうすればいいかを解説します。
✓ゲームデザイナーとゲームプレイヤーの思考は食い違う
TRPGのシナリオを作った人なんかは実感として分かる話だと思いますが、デザイナーとプレイヤーの感覚って結構食い違いがちです。
具体例を見てみましょう。
具体例①:確率の期待値
例えば、普通に使うと100%素材が10コ手に入るカードがあり、特殊な使い方をすると50%の確率で30コ手に入るけど50%の確率で何も手に入らないとします。
後者の期待値は15となりますから、デザイナーは15入る想定でゲームバランスをきます。
ところが、テストプレイすると50%の博打に出るプレイヤーはほぼいませんでした。
テストプレイヤーに慎重な人が多かったという見方もできます。
しかし多くの人はなるべくリスクを避けたいと行動する傾向が強いです。
プレイヤーはデザイナーほど厳密な計算をしてプレイする人達ばかりではありません。
理論値ではなく感覚でプレイするプレイヤーの想定も必要ということです。
具体例②:説明の不足
よくあるのは「公開情報」と「非公開情報」の説明が不足していること。
カタンのようなゲームで素材カードを手に入れた際、そのカードを他のプレイヤーから隠して持つのか、自分の前に置いて公開するのかがしばしば食い違います。
特に、他のプレイヤーの視点からも手に入れた瞬間は何を手に入れたかが分かっている場合に混乱が起きやすいです。
情報が公開か非公開かで駆け引きの想定が大きく変わってきます。
デザイナーの頭の中で公開(or非公開)が「当たり前」という前提になっている場合に起きます。
説明書に詳しく書いても読み飛ばされたりして想定と違う遊びをされることもあります。
誤解が生まれた場合は、そもそものデザインを考えなおすことも選択肢に入れましょう。
✓食い違いに気付くための方法
ではどうやったらその食い違いに気付けるのでしょうか。
結論からいうとテストプレイをするのが手っ取り早いです。
ゲームデザイン初心者の頃は、自分の頭の中でいくら食い違っていないかを思案しても、思い当たらない時は本当に思い当たりません。
ゲームデザイン熟練者でも完璧に食い違いをなくすのは難しいです。
テストプレイを欠かさずに行っているのは、こういった作り手と遊び手の食い違いを見つけるためという側面もあります。
テストプレイは説明書を渡すだけにして、自分からルールやゲームのコツを直接伝えないようにしましょう。
説明すると自分の中の「前提」を伝えてしまい食い違いが分からなくなります。
テストプレイに関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
✓食い違いを起こさないための対策
なるべくならこういう食い違いを起こしたくはないですよね。
そのための対策方法をお教えします。
可能な限り「客観的視点」を意識する
1つは経験を積むことです。
たくさんのゲームを作って、たくさんテストプレイしてもらうと、よくある食い違いのパターンがなんとなく分かるようになってくると思います。
そういった「客観的な視点から見たパターン」を経験値として貯めていきましょう。
自分で作ったゲームですからどうしても主観的な視点で見てしまいます。
そしてその視点はプレイヤーの視点とは違うわけですから、食い違いが出るわけです。
なるべくプレイヤーと同じ視点、詳細なルールを知らず自分が初めて遊んだ時ならどうするだろうかという視点を持つことが大切です。
過剰と思えるくらい丁寧に説明する
とにかく丁寧に1から説明しましょう。
図解や手順を書き、なるべく言葉もはしょらない説明を心がけるといいです。
「ちょっと丁寧すぎるかな?」くらいの感覚でちょうどいいくらいです。
インスト用の動画を用意するなど、実際にプレイヤーが遊んでいる風景を使って説明できれば完璧ですが、説明書と違い購入した人全員が動画を見るわけではないのでその点は注意です。
✓まとめ
デザイナーとプレイヤーの視点は常に何かしらの食い違いがあると思っておきましょう。
それを見つけるためには、実際に第三者に遊んでもらうのが一番効果的です。
デザイナーは常にプレイヤーの視点を忘れないように心掛け、丁寧すぎるかなと思うくらいにしっかりと書き込んだ説明書を用意して販売に臨みましょう。
この記事が1人でも多くのゲームデザイナーの助けになれば幸いです⭐
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