モンスターハンターライズ、大人気ですね!
そんなライズにももちろん(?)バグが存在します。
こちらの動画でバグが紹介されていました。
「こんがり魚」というアイテムを「広域化」というスキルを使って仲間に付与すると、本来以上の効果時間に伸びてしまうという現象のようですね。
今回はどうしてこんなバグが起こってしまっているのかを、ゲームデバッガーやゲーム開発者の視点から紐解いていこうと思います。
こんがり魚+広域化のバグの概要
今回のバグの概要は以下の通りです。
広域化のスキルを使用してこんがり魚の効果を味方に与えると、本来90秒しか効果が持続しないはずなのに、180秒も効果が持続する。
これだけだとちょっとバグか判断がつかないので、それぞれの仕様を確認します。
アイテム「こんがり魚」の仕様
こんがり魚は、以下の2つの効果があります。
- HPゲージの赤い部分を全回復する
- 90秒の間HPが自動的に回復する
スキル「広域化」の仕様
広域化はスキルレベルに応じて効果が以下の様に変化します。
- 効果の1/3を周囲の仲間にも与える
- 効果の1/3を広い範囲の仲間にも与える
- 効果の2/3を広い範囲の仲間にも与える
- 効果の2/3をかなり広い範囲の仲間にも与える
- そのままの効果をかなり広い範囲の仲間にも与える
効果の1/3というのは、回復アイテムであれば回復量が1/3になり、持続効果のあるアイテムであれば効果時間が1/3になるということです。
こんがり魚は持続効果のあるアイテムに該当します。
バグの解説
以上の仕様を踏まえた上で、こんがり魚の効果を広域化で仲間に与えた場合、本来であれば以下のようになるはずです。
- 広域化Lv1:30秒のHP自動回復効果
- 広域化Lv3:60秒のHP自動回復効果
- 広域化Lv5:90秒のHP自動回復効果
しかし、実際には以下のようになってしまっています。
- 広域化Lv1:60秒のHP自動回復効果
- 広域化Lv3:120秒のHP自動回復効果
- 広域化Lv5:180秒のHP自動回復効果
それぞれのレベルで効果時間がなぜか倍化してしまっています。
他の持続効果のあるアイテムでは、正常に効果時間が反映されていることが確認できていたので、こんがり魚限定のバグのようです。
バグの考察
ではなぜこのような現象が起きてしまったのでしょうか。
ゲーム制作の現場でよくありがちな可能性を4つ書き出してみます。
可能性1:計算式のミス
ゲーム内でも四則演算(+ー×÷)による計算式が行われています。
効果時間が180秒のアイテムを広域化の効果で1/3にする時には、ゲーム内で「180/3=60」という計算が行われているんです。
そして、こういった計算式は類似する効果のアイテムは同じ計算を何度も繰り返し使えるように設計されています。
しかし、こんがり魚は他のアイテムには無い「HPを持続的に回復する」という効果なため、他のアイテムとは違う独自の計算式が使われていた可能性があります。
そして、その独自の計算式に「×2」という計算が混ざってしまっていた可能性があります。
もちろん普通はそんなことはないはずですが、開発中に広域化の仕様が変更になっていたりするとそういったことはマレにあります。
可能性2:使用したアイテムの効果時間を見ていない
モンスターハンターライズには持続効果のあるアイテムが複数ありますが、こんがり魚以外は180秒か300秒の効果時間となっています。
そして広域化のスキルを実装した開発者の方がこれに気付いておらず、スキルの効果時間を固定して実装してしまった可能性があります。
アイテムを使う度に毎回「このアイテムは180秒で広域Lv1だから÷3して・・・」と計算させるよりも「このカテゴリのアイテム使ったら、Lv1なら60秒!Lv3なら120秒!Lv5なら180秒!」と実装する方が処理が簡単になります。
そしてスキル実装者がこんがり魚も180秒の他のアイテムと同じカテゴリーに分類してしまい、今回のバグが発生してしまった可能性が考えられます。
可能性3:実はこんがり魚は本来180秒の効果時間だった
そもそもこんがり魚の効果時間が90秒しかないというのがバグの可能性もあります。
こんがり魚以外のアイテムは全て最低でも180秒の効果時間があるのに、このアイテムだけ90秒というのは何とも解せない話。
何らかのミスによって本来180秒の効果時間を持つはずだったこんがり魚の効果時間が90秒になってしまっていて、広域化による時間の方が正しい仕様だった可能性もあります。
可能性4:開発後半の仕様変更が伝達されていなかった
可能性2と3にも関わってきますが、ライズの開発後期にバランス調整によって「こんがり魚が180秒では強すぎるから90秒に弱体化しよう」となった可能性があります。
4人プレイで10分もあれば終わるモンスターハンターライズのクエスト、3分持つなら4回食べれば常時ものすごい速度でHPが回復し続けるわけですから、バランスブレイカーと判断されていてもおかしくありません。
その結果90秒に弱体化したものの、広域化で仲間に与える影響に関しては弱体化するのを忘れていたという可能性は大いにあります。
ゲーム内容が薄いと言われたり、重ね着装備がパッチで追加されたりとモンスターハンターライズの開発はかなり見切り発車感もあったので、バタバタした開発後期で変更が行われていたとするならこれはありえる話です。
可能性5:実は意図した仕様である
バグであるという前提で今まで話してきましたが、もしかしたら意図された仕様である可能性も否定できません。
モンスターハンターライズは従来に比べて初心者に優しいゲーム性になっています。
そして、最終的には開発者はマルチプレイで多人数の人と遊んで欲しいと考えているはず。
ならばこの「仲間に効果を分け与えた時だけ自分が使うよりも効果が伸びる」というのは、「この効果を積極的に使って欲しい」「マルチプレイをたくさんやって欲しい」という声の現われなのかもしれません。
・・・いや流石に無いかな。それなら明確に1/3とか2/3って広域化の説明に書かないだろうし。
こんがり魚+広域化は使ってもいいの?
バグの利用に関しては毎度様々な議論が行われます。
それがマルチプレイに影響を与えるならなおさら。
そのバグの匙加減や時代によって結論は様々ですし、人によっても結論は全然違います。
私個人の意見を述べるとするなら、このバグは使ってもいいバグだと思っています。
何故なら、モンスターハンターライズは対人戦のゲームでは無いですし、そこまで大きなバランスブレイクをしているとも思えないからです。
このバグを使っても、下手な動きをして2回連続で大ダメージを受けたら死んでしまいます。
無敵になるわけではありません。
もちろん難易度がぬるくなる、ということは間違いありませんが、セットできるスキルには限りがあるので攻撃力を上げる=狩猟時間を短くする というプレイをしようとすると必然使えないバグとなります。
時間がどうしてもかかる難しいモンスターとの対決や、不慣れな初心者の方のサポートの為にこのバグを使うのが主な用途になるでしょう。
そしてそれらは純粋にヒーラーとしてのゲームの楽しさの一環であると私は考えます。
もちろん、バグなんだから使わないで欲しいという人もいるでしょう。
しかしゲーム内に実装されていて、大型パッチでも修正されなかったことを考えると、すでにこのバグは半分ゲーム内の仕様と認知されている可能性があります。
もしこれらのバグが不快と思う方は、プレイヤーへの利用を制限するような運動を起こすのではなく、CAPCOMさんへ直接バグの連絡を行うのが正しい運動かなと思います。
まとめ
実際のところ、どうしてこのバグが発生してしまったのかは開発者以外には分かりません。
修正されないというのも、他にもっと優先してやるべきことがあるからという可能性もあります。
今回の記事で書いたことも、あくまで私個人の推測であり、可能性の域を出ていないことをご承知おきください。
最後に、モンハン面白いよ!皆もやろう!
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